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膝コラム
2026.08.06
ヒアルロン酸注射が効かないと感じる膝の痛み|次に考えたい治療法を整形外科医が解説

ヒアルロン酸注射が効かないと感じる膝の痛み|次に考えたい治療法を整形外科医が解説
 

膝のヒアルロン酸注射が「効かなくなってきた」のは、あなたの気のせいではありません。

ヒアルロン酸は関節の潤滑を一時的に補う「応急処置」であり、すり減った軟骨や膝の使い方のクセを治す治療ではないからです。

 

次に考えたいのは、

①理学療法士による運動療法・動作改善(根本対策)、②インソール、③それでも痛みが残る場合の再生医療(PFC-FD・培養幹細胞)、④進行例では手術——という「段階に応じた治療の組み立て直し」です。この記事で、その道筋を順番にご説明します。

 

「最初の頃は注射をすると楽になったのに、最近は1週間ももたない」「もう何十回も打っているけれど、このまま続けていいのだろうか」——外来で本当によくうかがうお悩みです。毎週・隔週の通院を続けながら、効果が短くなっていく不安。

 

まずは動画でも解説していますので、あわせてご覧ください。

動画: 【整形外科医が本音で解説】ヒアルロン酸が効かない膝の痛み|次に考えたい治療法(当院公式YouTubeチャンネル)

 

ヒアルロン酸注射はなぜ効かなくなるのか?

結論からいうと、「潤滑油の補充」では、機械(膝)の摩耗と使い方は直らないからです。

膝関節の中は関節液で満たされ、軟骨というクッションが衝撃を吸収しています。

ヒアルロン酸注射は、例えるならきしむ機械への潤滑油の差し足し。動きを一時的に滑らかにし、痛みを和らげる効果は期待できます。

痛みが強い時期に「動ける状態」を保つための応急処置として、当院でも大切に使っている治療です。

膝関節の断面図に油さしで潤滑油を注いでいるイメージイラスト(ヒアルロン酸注射の例え)

しかし、潤滑油を差しても変わらないものがあります。

  • すり減った軟骨そのもの
  • 膝に負担をかける歩き方・しゃがみ方のクセ(膝が内側に入る「ニーイン」など)
  • 膝を支える筋力の低下

変形が進むほど「差し足してもすぐきしむ」状態になり、効果を感じる期間が短くなっていきます。

これは治療が間違っていたのではなく、膝が「応急処置だけでは足りない段階」に進んだサインです。

「効かない」と感じたら最初に見直すこと——注射より先に“土台”

結論からいうと、運動療法と動作改善こそが、診療ガイドラインで最も強く推奨されている治療の土台です。

 

意外に思われるかもしれませんが、変形性膝関節症の治療で世界的に最も推奨度が高いのは、注射ではなく運動療法・体重管理です(日本整形外科学会 変形性膝関節症診療ガイドラインほか)。

  • 痛みが強い時期
    ヒアルロン酸・湿布・痛み止めで痛みを抑えるのは正解です。動けなくなると筋力が落ち、さらに痛むという悪循環に入ってしまうためです。
  • 並行して行うべきこと
    理学療法士による①膝を支える筋力の運動療法、②歩き方・しゃがみ方の動作改善、③必要に応じたインソールの作製です。当院では理学療法士が歩き方まで評価したうえでインソールをお作りしています。

リハビリ室で理学療法士が中年女性のスクワット動作を指導しているイラスト

「注射が効かない」と感じている方の中には、この土台づくりをまだ一度も受けていない方が少なくありません。ここを立て直すだけで、同じ注射でも効き方が変わる方もいらっしゃいます。

それでも痛みが残るとき——「次の選択肢」の全体地図

結論からいうと、選択肢は「再生医療」と「手術」。どちらが適するかは膝の段階で決まります。

膝の段階 選択肢 特徴
保存療法で改善が乏しい
(軽度〜中等度)
収束型体外衝撃波/再生医療
(PFC-FD療法・培養幹細胞治療)
入院不要。公的医療保険の適用外(自由診療)
変形が高度・生活の制限が大きい 人工膝関節手術など 痛みを取る確実性が高い。当院で適応を判断し、札幌医科大学附属病院などの関連病院へご紹介します

再生医療は「ヒアルロン酸の次」としてよく検討される治療ですが、すべての膝に向くわけではありません

向かない方の特徴は、膝の再生医療が向かない人」の記事で正直にまとめています。

ヒアルロン酸注射の次の治療を考えている方へ

ヒアルロン酸注射や運動療法を続けても痛みが残る場合、手術以外の選択肢として再生医療が検討されることがあります。治療の仕組みや適応、費用、注意点を詳しくご案内しています。

膝の再生医療について詳しく見る →

受診の目安——この状態なら一度ご相談を

「注射の間隔が短くなってきた」は、治療計画を見直すベストタイミングです。

  • 注射の効果が2週間もたなくなった
  • 階段・正座など、特定の動作の痛みが強くなってきた
  • 夜間や安静時にも痛むことがある
  • 「このまま注射だけでいいのか」と不安になっている

当院では、レントゲン・必要に応じてMRIで膝の段階を確認し、保険診療の保存療法から再生医療・手術まで、すべての選択肢を並べてご説明します。

よくある質問

Q1. ヒアルロン酸注射は何回まで打てますか?

回数の絶対的な上限はありません。ただし効果が短くなってきた場合は、「回数を重ねること」よりも「治療計画の見直し」をおすすめします。

Q2. 注射をやめると膝が悪化しませんか?

ヒアルロン酸を中止すること自体で変形が進むわけではありません。大切なのは、痛みを抑えながら運動療法などの根本対策を並行することです。

Q3. 再生医療に切り替えれば軟骨は元に戻りますか?

現在の再生医療は、すり減った軟骨を完全に元に戻す治療ではありません。期待できるのは痛み・炎症の軽減と機能の改善であり、効果には個人差があります。

当院からのメッセージ

「注射が効かなくなった=打つ手がない」ではありません。私の外来では、ここから治療を組み立て直して、趣味の登山や旅行に戻られた方を大勢診てきました。効かなくなってきたと感じたら、それは膝があなたに「作戦会議をしよう」と言っているサインです。どうぞ一度、膝の“現在地”を確かめにいらしてください。

膝の再生医療について、もっと詳しく

PFC-FD療法・培養幹細胞治療の仕組み、治療の流れ、料金は専用ページで詳しくご案内しています。「自分の膝に向いているのか知りたい」という方は、まず保険診療の診察からご相談いただけます。

膝の再生医療について詳しく見る

自由診療に関する重要事項

  • PFC-FD療法・培養幹細胞治療は公的医療保険適用外の自由診療です。
  • 料金(税込)
    • PFC-FD療法(PFC-FD2.0):片膝 1回(2V) 161,000円
    • 培養幹細胞治療(ASC療法):片膝 1回 980,000円/両膝 1回 1,380,000円
  • 主なリスク・副作用:注射部位の痛み・腫れ・内出血、まれに感染。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
  • 当院は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、再生医療等提供計画を届出済みです。
  • 国内で医薬品として承認された治療ではなく、同一の成分・性能を有する国内承認医薬品等はありません。

この記事の執筆・監修

医療法人社団福亀会 札幌中央整形外科クリニック 院長 亀田 和利
整形外科専門医。人工膝関節置換術の執刀700件以上、膝の診療5万件以上の経験をもとに、保存療法から再生医療まで段階に応じた膝治療を提供。

手術が必要な段階と判断した場合は、執刀医としての経験に基づいて適切なタイミングを見極め、札幌医科大学附属病院などの関連病院へご紹介しています。
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亀田 和利

平成12年に札幌医科大学卒業後、道内外の病院や海外での臨床・手術経験を経て、平成28年に福住整形外科クリニック、令和6年に札幌中央整形外科クリニックを開院。
膝関節に特化した保存療法から再生医療(PRP・幹細胞治療)まで幅広く対応している。

【所属学会・資格】
・日本整形外科学会 整形外科専門医
・日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医
・人工関節学会、人工関節若手の会 所属
・医療経営大学 准教授
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